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【もっと!グルミクをディグろう!】西尾夕香さん×水島精二さんインタビュー公開!

「もっと!グルミクをディグろう!」の企画の第3弾として、
第2弾に引き続き、愛本りんく役 西尾夕香さんと音楽プロデューサーによるインタビューを実施!

今回は、Photon Maidenの音楽プロデューサーであり、TVアニメ「D4DJ First Mix」の監督である水島精二さんにお話聞かせて頂きました。
Photon Maidenの楽曲制作裏話だけではなく、西尾さんとのTVアニメ「D4DJ First Mix」について振り返りエピソードもお話頂きました。

 

Photon Maidenのライブシーンは
吸い込まれるような感じ(西尾)

 

ーーTVアニメ『D4DJ First Mix』も無事最終回を迎えましたが、愛本りんく役の西尾さんからは、アフレコは時間をかけて、じっくりと録っていったと伺っています。

 

水島 西尾さんは、いろいろな経験をしてきている方なので、彼女の中にある愛本りんくを引き出して、それを定着させていくという部分で、細かくお願いはしていきました。りんくというキャラクター的に、あまり考えすぎないようにとディレクションをしたり、自分の経験から「どうすればいいのか」というところを丁寧に伝えていった印象があります。

 

西尾 もっとこうしたほうがいいよというディレクションを明確にくださったので、ありがたかったです。

 

水島 客観的に聞こえている声と、自分の中で聞こえている声って違うから、マイクを通すとどう聞こえるのかを体感するのには、どうしてもキャリアが必要なので、そこが一番苦労している感じだったのかなと。

 

西尾 それはあるかもしれないです。自分では100%でやっているつもりだったんですが、「もっと」と言われることが多かったので。

 

水島 十分テンション高くやっているつもりだけど、りんくだともっと上げてほしくて。突き抜けるようにやってもらわないと、あの雰囲気が出ないから、体力は使ったと思います。

ーーそのおかげで、りんくはおバカだけどニクめない、周りを巻き込んでいくキャラクターになっていました。

 

水島 自分の中でりんくって、うざかわいいキャラクターなんです。うざくないとダメで、それなのに周りを巻き込む力があって、かわいく見えることがポイントだったんです。

そのためには天真爛漫で邪気がない感じでなければいけなくて、ちょっとでも影が出てしまうと違うものになってしまうんですね。そこにアジャストできる経験がまだなかったから、苦労はしただろうなって。でも、こういうメディアミックス作品だと、コンテンツの生放送でミニドラマを演じるっていうことも多いけど、そこは卒なくやっていたので、地頭はいい子なんだろうなぁと思いました。

 

西尾 そうだったらいいなぁ(笑)。

 

水島 でも、そういうイメージはあるから、またどこかでご一緒する機会があったら、もっと西尾さんに近いキャラクターで、違う味のお芝居を引き出してみたいという気持ちはありますね。

 

西尾 今は元気なキャラクターを演じることが多いんですけど、それとはまた違うキャラクターもやってみたいとは思っているので、ぜひお願いします!

 

ーーPhoton Maidenのプロデューサーの水島精二さんとしてのお話も伺っていきたいのですが、まずPhoton Maidenのライブパフォーマンスの魅力を教えてください。

 

水島 Photon Maidenのプロデューサーのお誘いをいただいたときに、(演じている)メンバーのプロフィールを見せてもらったら、舞台をやられていたりいろいろな経験をされている方々だっていうのが分かって、その個性がパフォーマンスに乗っていけばいいなと思ったんです。

僕らは音楽を作ることがメインなので、DJが肝になるようなEDMにして、バキバキに踊ったらカッコいいだろうなと思っていたんですけど、振り付けの先生が曲に食いついてくれて、すごくカッコいいダンスを付けてくれたから、ありがたかったです。

そういう意味で、ダンスパフォーマンスが強いユニットというのは、僕らが提案する音楽とすごく噛み合ったなと思っています。ただ、演者からは「大変です」と言われているので(笑)、今はそういう意見もふまえて、曲調も考えて作っているんですけど……。

 

西尾 結構メンバーとやり取りや相談をされているんですか?

 

水島 もともと僕が他の人の意見を取り入れてまとめるという監督の仕事をしているから、結構話しますね。レコーディングも僕と作家が立ち会っているので、曲のコンセプトは僕が説明をするし、ライブのセットリストも最初はこちらで作っていたんですけど、「この曲の後にこれがくるとキツい」とか言われるんですよ(笑)。だから昨年10月の『グルミク Presents D4DJ D4 FES. ~LOVE!HUG!GROOVY!!』からは、グループLINEで、みんなで相談するようにしています。

 

ーーHappy Around!(以下、ハピアラ)のパフォーマンスについては、どう見ていましたか?

 

水島 最初からハピアラは初々しくて、楽しそうだなっていうのはあったんです。ライブを見て、この人たちが演じるキャラクターをアニメでどう動かしていくのかを考えていたので、すごく参考になりました。西尾さんに関しては、ライブでハジけている部分より、さらに上のテンションをりんくに持たせようと思っていたので、ライブのテンションをベースに持っておいてもらおうという感じでした。

これは他の役者さんにも言えることですけど、ベースを本人たちに近づけていくというキャラクターの作り方が功を奏しているのは、ライブから始まったコンテンツだからだと思います。そのほうが自分との共通点も見つけられて、演じやすいと思うので。

そういう意味では、西尾さんや出雲咲姫役 紡木吏佐さんは、与えられたキャラクターに対して、自分なりにアプローチしていかないと難しい役だったのかもしれないですけどね(笑)。りんくは主人公で、すべてがりんく(中心)だったから、大変だったと思うし、悔し泣きをしている姿とかを見ていると、この子は本当に真面目なんだな、ストイックなんだなと思ったりしました。だから、「あまり考えないほうが良いよ」というアドバイスをしていたんですけど。

 

西尾 そうでしたね……。

 

ーー確かに、キャラクターと本人の性格がわりと違うお二人ですからね。でも、ライブから始まったコンテンツだからこその利点は多かったんですね。

 

水島 そうですね。先行してライブや音声収録があったりして、キャラクターの練り込み段階から関わることができたので、それはすごく良かったです。

 

ーーPhoton Maidenも、ライブなどから受けた印象がアニメに反映されたりしたのですか?

 

水島 アニメはあくまでハピアラの話だったので、フォトンが出てきても、メインの話というのはどうしてもできないんですよね。だから少ない尺の中、与えられた時間軸の中で、ハピアラとどう向きあうのか、そしてフォトンのキャラクターをどうやって表現するのかに苦心した感じです。

『D4DJ Groovy Mix』(以下、『グルミク』)のシナリオにも目を通していたし、収録も何度か立ち会っているんですけど、ゲームでは(福島)ノアがすごいキャラクターになっていたから、アニメでもう少し面白くしておけばよかったなって反省をしたりしましたけど(笑)。次の機会までに、どうやって(大鳴門)むにと接触させようかとか、考えたりしています。今の段階で「む~に~ちゃ~ん、つかまえた~」とか言えないですから(笑)。

 

西尾 急に親しく……(笑)。

 

水島 ノアって、(花巻)乙和とのバランスをどう取るかで考えていったんですけど、声優の佐藤日向さんに会った印象とかも含めると自信家にしたほうがいいなと思って、アニメでは表情を強めにしているんです。ノアがリードする立場にしないと、乙和が生きてこないとも思ったので。

さらにノアは、博覧強記という設定もあって、読書家でいろいろな知識があって、もともとパフォーマンスにも興味があるから前衛芸術にもこの歳で手を出したりしているというアーティスティックな子という設定もあるんです。ゲームでそっちが伸びるかと思ったら、かわいいもの好きのほうにブーストがかかっていたから、今後もしアニメがあったら、どう融合して面白いキャラにしていこうかなとか、そもそもフォトンがどれだけ描けるのかなとか、考えたりはしますね。

 

ーーちなみに西尾さんは、アニメのPhoton Maidenのライブを見て、どうでしたか?

 

西尾 ライブシーンを見ると、ハピアラと世界観が全然違っていて、吸い込まれるような感じだったんです。フロアも楽しみ方が違うんだろうなって思いながら見ていました。

 

水島 ライブ前の導入の音楽から宇宙っぽい音を付けたり、コンセプチュアルに見せているというのはアニメでもこっそりやっていたので、ライブでのムード作りは、ハピアラもピキピキ(Peaky P-key)も違っていて三者三様になったかなって思っています。VJとかもかなりこだわってやっていたので。

 

「暁」から新たな進化を加えたものが
「Be with the world」なんです(水島)

 

ーーそれでは、『グルミク』で解放された「“What” are you?」「Be with the world」についても伺いたいのですが、楽曲はシナリオやキャラクターに影響を受けて作っていったのでしょうか?

 

水島 「“What” are you?」に関しては、ラブソングという指定をいただいていたと思います。「Discover Universe」とかも、Photon Maiden初のCMタイアップ曲で、引っ越しのCMソングというお題がふんわりあったんですよ(笑)。だから、「“What” are you?」もバレンタインとかの時期の曲です、みたいな感じだったかと。それ以前に作った「Photon Melodies」「Here's the light」はアンノウン(Unknown)感があったので、もっと人間っぽいところに寄せて、フォトンの最大級のかわいさをコンセプトに作ったんです。

「Be with the world」は、その時点でのフォトンの集大成と言われていた気がするんですけど、アニメのほうで「暁」の(出雲)咲姫リミックス「暁(Fruits Mix)」をやって、咲姫が楽曲制作に関わるようになった後の曲なので、フォトンが出したかった新しい色の、その時点での集大成というイメージで作っていった気がします。

咲姫のリミックスって、弦とかピアノの生音が入っているんだけど、それはアニメの11話で咲姫が(明石)真秀に指摘されたことを念頭に置いて作ったからで、そこから新たな進化を加えたものが「Be with the world」なんです。だから音の要素が、よりシンプルになっているんですよ。それでいて今まで通りEDMになっているという。だから、シンプルになったという意味では、「Photon Melodies」に回帰しているとも言えるんですよね。一周回って進化したというか。

 

西尾 「“What” are you?」は「暁」の前に聴いたんですけど、日本語が多かったので、これまでと違う印象を受けていました。この2曲に限らず、Photon Maidenの曲って、捉えているビジョンが大きいですよね。人が話しているとかではなく魂が話している、精神的なものをすごく感じます。

 

水島 最初、アンノウン感やエネミー感という話があったからね。敵とか、分からないものっていうイメージがあって、あの衣装を見たとき、これはもうSFで、自分の好きな世界に持っていったほうがいいと思ったから、そういう意味では、意識生命体みたいな感じだし、それって何かと言ったら、神でも悪魔でもいい存在なんですよ。で、「Discover Universe」は宇宙を旅しているように見せかけて、体内に入ってみたり、原子にまでさかのぼってみたりする。だからこれは旅とか引っ越しがテーマになってるんです(笑)。

(一同笑)

 

西尾 だから引っ越しのCMなんですね(笑)。

 

水島 面白いでしょ? お引越しというテーマをもらっていなかったら生まれて来なかった曲なんだけど、途中で「CMの話はなくなりました」と言われたときは、がっかり!みたいな(笑)。そうやっていろんなものに刺激されて作っているんです。

ーー「暁」について、制作時のエピソードをもう少し詳しく聞かせてください。

 

水島 アニメのストーリー軸でいうと、アニメでフォトンのオリジナル曲を聴いてもらうとしたらどういう曲がいいだろうと考えたとき、ハピアラとの対決話がすでにあったので、ハピアラの「Brand New World」と対にしなければいけなかったんです。で、最初に「Brand New World」ができて、こういうエモい曲で固まったなら、フォトンもエモい曲にしよう。そこから、エモい曲を書けるクリエイターと言えばfu_mouで、「A lot of life」も彼が作ってくれていたから、その延長でその先のある曲を作ってもらったら、ドラマチックだしカッコいいなと思ったんです。

結果、「Brand New World」もfu_mouが曲を書いているから、どっちも同じ人が書いているってことになるんですけどね。

ただ、「暁」に関しては、いつも以上にfu_mouちゃんとキャッチボールしながら作ったんですよ。咲姫のリミックスバージョンが11話であることも決まっていたから、変化を分かってもらうためにはどうするかという細かい調整が必要だったので……。そういう流れがあった上で、アニメでさらにハッとさせられるものって何だろうと考えたとき、思いつきで「英語をやめてみる?」って話をしたら、これも佐高陵平が意図を汲んだ日本語詞にしてくれたんです。

そして、11話で流れた「暁(Fruits Mix)」に関しては、アレンジをグシミヤギヒデユキというクリエイターにお願いしたら、イメージがガラッと違うものになって、それが視聴者にも伝わったので、胸をなでおろしました(笑)。

 

ーーアレンジが違うだけだと、気づかれないときもありますからね。西尾さんはハピアラとして「暁」と対決しましたが。

 

西尾 「暁」はアニメ放送前から聴いていたので、こんな良い曲と私たちの「Brand New World」が戦うんだぁってドキドキしていました。

 

ーーどちらが勝ってもおかしくない、両方とも良いパフォーマンスでしたよね。

 

水島 「暁」のライブが想像以上にカッコよくできてしまったから、これはハピアラ負けてるんじゃない? いや、でも「Brand New World」は楽曲的に強いんだよなって思いながら、オンエアを待っていたんですけど、みんなの感想を見ながら、ハピアラが勝ったことに納得してくれてて良かったと思っていました(笑)。

 

ハピアラは、もう一つの自分の
担当みたいに思っているんです(水島)

 

ーー出演キャストやキャラクターがDJパフォーマンスを披露するYouTube配信「#D4DJ_DJTIME」の感想をお聞かせください。水島さんご自身が出演された際の感想もお聞かせください。

 

水島 コンテンツ開始時は、DJはどうするのかなと思ったけど、みんなうまくなったなぁと思います。僕なんかじゃ太刀打ちできないくらい選曲も凝っているし、繋ぎもちゃんとしているから、若い子は吸収が早いなぁと思いました。あと、りんくや真秀や咲姫や(犬寄)しのぶとかはキャラクターでやっている配信もあって。 西尾さんは、りんくをしっかりと守っているんだなって思うよ。でもD4DJってライブから始まったコンテンツで、中の人がいた上で始まっているから、演じている本人の雰囲気が出るのも面白いと思うんです。ライブとは違った表現の仕方で、演者とキャラクターがいい感じ混ざるのって、表現の幅としてはありなんじゃないかと思ったりはしますね。

 

ーー西尾さんも、もっと出しちゃってもいいかもしれないと?

 

水島 そうそう。暗くて重たいりんくっていうのもちょっと面白いかも(笑)。西尾さんのまた違う真面目さが出たら面白いなって思います。

 

ーー水島さんがDJをするときは、どんなところにこだわっているのですか?

 

水島 僕はアニソンDJなので、ストーリー重視で、セットリストにドラマ性を見い出しているところがあるんです。BPMを揃えて繋ぐというより、カットインでハッとさせるように繋ぐ。あとTVアニメ制作者でもあるからOP尺で使いたいんです。だからTV尺にエディットして繋いだりするやり方に変わってきちゃいましたね。

 

西尾 水島さんのDJを見て、フォトンの曲をたくさん使っているのはもちろんなんですけど、水島さんが監督をされたアニメの楽曲を入れたり、監督にしかできない繋ぎをされていて高まりました!

 

水島 自分なりのストーリーを作ったりはするけど、みんなもやっているよね。影響を受けたものを繋げたりして。それを感じさせるのがDJの醍醐味でもあるから。

今後もイベントとかではDJTIMEみたいなゾーンを設けてやっていくと思うので、DJがテーマのメディアミックス作品としては、正しくそこに向かうと思うので楽しみですね。

 

ーー(笑)。では、水島さんが『グルミク』の実装曲でセットリストを組むとしたらどんな曲にしますか?

 

水島 今回は、アニメも終わったあとなので監督としてでもいいですか? アニメでのハピアラ楽曲は、制作に大きく関わっているので、もう一つの自分の担当みたいに思っているんです。なので全部ハピアラで、「Make My Style」「ぎぶみーAwesome!!!!」「Happy Around Days」「Brand New World」かな。ストーリーに則って、キャラクターが色濃く反映されている曲で繋げてみました。

まず、真秀とりんくのふたりで始めたころの曲から、むにが入ったことで電波ソング的なものが生まれ、真秀の勘違いというオチがあったけど、みんなと過ごした日々がかけがえのないものだったという歌詞が乗った「Happy Around Days」、そこから麗をフィーチャーした「Brand New World」が繋げるのは、ストーリーとリンクしていて良いですよね。

「Make My Style」は、真秀ちゃんがすごく頑張って女の子らしい歌詞を書いたという裏設定があって、「ぎぶみーAwesome!!!!」は、麗がむにの家にお泊りしたときの出来事を真秀が取材して歌詞にまとめているから、初期は真秀が頑張っているけど、麗の加入で、メロディと「Brand New World」では歌詞までやってもらっているから、真秀もだんだん楽になってきてるんですよ。しかも最終話で流れる「HONEST-happy a word-」は、りんくとむにがラップパートのリリック、「歌詞」を書いたという話になっているし。

 

ーーそれは、アニメファンが喜ぶセットリストですね! では最後に、今度はPhoton Maidenのプロデューサーとして、ファンへメッセージをお願いします。

 

水島 アニメの放送が終了したので、しばらくはPhoton Maiden周りがメインの仕事になるので、『グルミク』のシナリオの進行具合と、そこで求められるものに対して丁寧に打ち返しながらPhoton Maidenのニューモードをどう作って行こうかなと、今チームで話し合っているところです。一二三に所属しているクリエイターでこれまでやってきたけど、外のクリエイターにもお声がけをしつつ、Photon Maidenのアンノウン感というベースは崩さず、どういう事ができるか模索しながら、新人プロデューサーとして先輩プロデューサーたちを攻めていこうかなと思っているので、楽しみにしていてください。