「もっと!グルミクをディグろう!」の企画の第6弾として、
愛本りんく役 西尾夕香さんと音楽プロデューサーによるインタビューを実施!
Lyrical Lilyの音楽プロデューサーである中村 航さんにお話をお聞きしました。
文学をモチーフにしたオリジナル楽曲の制作秘話など、“リリリリ”ファン必見の内容です。
(Lyrical Lilyのキャラクターは)お嬢様学校に通っていて、
そこでとても大切に守られていた結果、
独自の感性や思考が見られるんですよね(西尾)
ーーLyrical Lilyのキャラクターの印象をお聞かせください。
中村 キャラクターを見たときは、んー、かわいいなって思いました(笑)。キャストも、ライブでは同じ格好をしているので、すごくユニット感が出ていてかわいらしいですよね。
純粋培養の清らかさとか、そういう言葉も浮かびました。ただ、それだけじゃないというか、清純も度を超えると過激さになるという感じでしょうか(笑)
西尾 (Lyrical Lilyのキャラクターは)お嬢様学校に通っていて、そこでとても大切に守られていた結果、独自の感性や思考が形成されているんですよね。そこがすごく異質で面白いなって思いました。キャラクターの年齢感はHappy Around!と同じなんですけど。
ーー超が付くほどお嬢様学校ですよね(笑)。
西尾 そんな学校あるのか!?って思いました(笑)。
ーーライブではどんなところが魅力ですか?
中村 初めてのライブが2020年7月(『MixChannel Presents D4DJ CONNECT LIVE』)なんですけど、その時から、学芸会に出る子供を見守る親みたいな感じで見ていたんです(笑)。最初は、本当にできるのかな?っていうところからスタートしましたが、まだ多くの経験を重ねていない中でも、パフォーマンスもどんどん本格的になってきているなと感じています。
西尾 やっぱり唯一の全員10代のユニットなので、そこも特徴ですよね。
ーーライブのあとは、何かアドバイスや感想を伝えたりするのですか?
中村 多少は言いますけど、「よく頑張りましたね」くらいで(笑)。ライブ中は音響とか照明のほうを、より気にしていたりして。
ーー本当に親みたいな感じなんですね(笑)。
中村 いや、僕より、僕の周りの音楽を作っているスタッフたちがお父さんお母さん目線になっていて、観ながら泣いたりしているんですよ。でも、僕は本プロジェクトでは、一切泣かないって決めたので。泣かないぞー(笑)
ーー内心は感動しているのに?
中村 まぁ、そういうことですよね(笑)。
Lyrical Lilyの冒険というのは、
電車に乗ってレコードを買いに行くとか
そういうお話なので(笑)(中村)
ーー「プティプランス」と「汚れっちまった悲しみ色」は『D4DJ Groovy Mix』(以下、『グルミク』)のユニットストーリーに合わせて解放される楽曲ですが、プロデュースや楽曲制作にあたり、どんなことを考えましたか?
中村 「汚れっちまった悲しみの色」は、Lyrical Lilyというユニットがあって、こういうコンセプトですということを受けて、最初に作った曲で、Lyrical Lilyが最初に姿を現すときに一緒にあった曲ですよね。なのでLyrical Lilyはこんなことをやるよ、こんな歌を歌うよっていう自己紹介的なことも少し考えながら作りました。タイトルでちょっと、謎をしかけたり、驚かせたりしたかったってのもあります。
「プティプランス」はシナリオに沿って、ゲームの第1章のストーリーが始まるときに流れる曲というイメージで、“冒険が始まるよ”っていう感じを出そうと思って作りました。Lyrical Lilyの冒険というのは、今のところ「行くぞ!冒険!」というものではなく、電車に乗ってレコードを買いに行くとか、そういうお話なので(笑)、ちょっと歩き出す感じのリズムやメロディになっています。ドキドキ!じゃなくて、どきどき…、って感じ。
西尾 Lyrical Lilyの歌詞を見ていると、本を読んでいるみたいな感覚になるんですけど、文学をテーマにしようと思った理由はあるのですか?
中村 Lyrical Lilyがどういうユニットになるのか、と考えた時に、先行して作品に出ているユニットが5つもあって、キャラクターがみんな強烈なんですよね(笑)。それに対抗するにはどうしたらいいのか、どうやって特徴を出していくのかということを考えてて、正統派アイドルで行こう、っていうのは思っていたんです。で、あるとき、文学でやったら面白いんじゃないか、って(ブシロードの)木谷会長に言われて。完成形を想像してみると、文学をテーマにするのと、正統派アイドル感ってのが、自分のなかではすんなり重なって、これは行けるかもしれないな、と。
それで、文学をテーマにするって、どういうことが可能なんだろうというところから始めたんですけど、最初の曲は「汚れちまった悲しみに」(中原中也の詩)か「吾輩は猫である」(夏目漱石著)のどちらかだなと思ったんですよね。誰でも分かるような日本文学でもあるし、インパクトもある。作品の内容に沿うのか、とか、タイトルだけに留めるのか、とか、手探りで進めていって、今の形に落ち着いた感じです。
ーー文学作品をモチーフに歌詞を広げていくというのは、面白い作業でしたか?
中村 初めてやることだし、楽しいですよ。ただ、歌詞を書くこと自体が、僕にとって楽しい作業なんです。だからハピアラの曲ももっと書きたい(笑)。
西尾 ぜひお願いします(笑)!
ーー作曲を誰がするのかも、決まっているのでしょうか?
中村 この人たちに頼もうというのはだいたい決まっていて、そこで毎回コンペをやって選んでいく感じですね。今のところ、エガワヒロシさんの曲が多いんですけど……。
ーー選んだらエガワさんの曲だったという感じなんですね?
中村 今のところそうですね。まず彼は何曲も出してくるし(笑)、POPSとしてすごく良曲だな、というものが多い。2月グルミクに実装された「月に萌える」という曲があるのですが、それは平田博信さんのユーロビートのダンス曲なので、ライブを楽しみにしていてほしいです。
ーー中村さんはバンド経験者で、音楽にも精通されていると思いますし、インタビューなどで、具体的なバンド名も挙げられています。自分が聴いてきたものを、Lyrical Lilyの音楽に取り入れたりはしているのでしょうか?
中村 僕がもともと演奏していたような曲とは全然違いますよ。もちろん“にゃんにゃにゃん”(「吾輩よ猫であれ」)とか言ったりはしなかったですし(笑)。ただ自分が聴いてきた音楽とか、音楽の作り方、っていうのは、ベースになってるかな、とは思います。想像していたよりも、編曲に関わることになったのもあって、勉強せねば、と最近の音楽も聴くようにしてます。
ーー聴いていると、メロディに懐かしさは感じます。
中村 80年代を意識した曲もありますしね。
西尾 レコードの話もストーリーには出てきたので、古き良き感じがありますよね。
中村 そうですね。それに今、80年代のモノが流行っていたりするので、それなら任せてくれ、と(笑)。自分の青春時代ですからね。
ーーユニットの音楽プロデューサーをなさるのは今回が初めてだと伺ったのですが、どういったことをお考えになりましたか。
中村 やっぱり後発のユニットなので、他のユニットとどう差別化するのかというところで、最初は生楽器を使ったりして上品にしようと考えたんです。やはりみんな派手というか、むしろド派手じゃないですか(笑)。だから上品なお嬢様っぽいだけだと、埋もれてしまう。上品な清らかさは守りつつ、そこから、どうやってクラブ的なものを取り入れていこうか、とか、でもあまりホーンを鳴らしたりするのは違うな、とか。いろいろと試しながらではありますけど、Lyrica Llilyと同様、僕らも冒険していく!という感じです。
ーー西尾さんは、Lyrical Lilyの楽曲の印象はいかがですか?
西尾 やっぱりかわいいという印象がすごくあります。それと先程もお話させて頂いたのですが、歌詞が本のようで、それが音楽に乗ることで、本が立体的になっているという感じがします。それって他のユニットにはない魅力な感じがしますね。
ーー先ほど、『グルミク』のシナリオから曲を書いているという話もありましたが、物語やキャラクターからアイディアをもらって書いた曲はありますか?
中村 「プティプランス」と、2月に公開したばかりの新オリジナル曲「月に萌える」は第1章のストーリーを元に作っています。それと「Magiの贈り物」はイベント曲で、これもイベントのストーリーを元にして書いていますね。サプライズをしたら逆サプライズをされた、みたいなところが歌詞にも入っていますし、この曲は「賢者の贈り物」(オー・ヘンリー著)というクリスマスの有名な話をモチーフにしているので、その要素も入っています。それからもう一つ注目してもらいたいのは、今、なかなか世界平和を祈れるアイドルっていないと思うのですが、こちらでは真正面から祈ってますよ(笑)
Lyrical Lilyのライブは
これからだと思います!(中村)
ーー出演キャストやキャラクターがDJパフォーマンスを披露するYouTube配信「#D4DJ_DJTIME」をご覧になっていましたら、その感想をお願いします。
中村 見ていますよ。第1回は西尾さんでしたよね?(※「#D4DJ_StayHome」として、4月29日に配信し、西尾さんが出演。その後タイトルが「#D4DJ_DJTIME」となった)
西尾 はい!
中村 新型コロナウィルスで大変な時期だったのに、すごいなと思ってました。あの頃、やっぱり、ずっと籠もって仕事をしていたので、それだけが楽しみでした(笑)。なんか感動したなあー。こんな状況だけど、僕らには音楽があるんだなー、って。
西尾 かなり厳しい時期にやっていました。
中村 手元とかも見られるところも面白かったです。自分が作詞した曲とか、Lyrical Lilyの曲がかかるとすごくアガりますし(笑)。
ーー西尾さんは、Lyrical Lilyの曲は、どういうタイミングでかけるのですか?
西尾 アゲアゲという感じよりは、エモいゾーンに入れたくなることが多いです。
中村 エモいゾーン!! そういことを考えてるんだ!
西尾 その日のセットリストの大まかな流れを決めて、この辺でこういうコーナーを持ってこようって考えたりするんですけど、エモい曲を流すところで入れたくなります。
それと、ハピアラの曲ならば、「Cosmic CoaSTAR」と合わせるのがいいなって思います。Lyrical Lilyの「銀河鉄道の夜に」となら、宇宙と銀河という感じで、内容も曲調も合わせられる感じがします。
ーー今回、中村さんにも、本を読みながら聴きたいセットリストを考えていただきたいなと思ったのですが……。
中村 本を読みながらD4DJは、脳の中でバッティングして、本の内容が頭に入ってこないですよ、きっと。J.S.バッハとかを聴いたほうが良いような気がします(笑)。だから、僕が以前シェアしたセットリストでもいいですか? DJ「nkmrkou」としてTwitterで紹介したものですが、「DDDDDJであれ」というタイトルで、「Dig Delight!」「Direct Drive!」「ぐるぐるDJ TURN!! アニメOP版」「吾輩よ猫であれ」という流れなんですけど、あ、これは、ほぼハピアラの曲ですね(笑)。
Lyrical Lilyはだいたい発表曲順に聴いていくと、なんとなくセットリストのような感じになっていると思います。「汚れっちまった悲しみの色」「吾輩よ猫であれ」「銀河鉄道の夜に」のように、3曲単位で作っていったので、そうやって聴いていただければ、いい感じに繋がると思います。続きは「プティプランス」「月に萌える」と、3月にグルミクに実装される新曲ですね。
ーーライブのセットリストも、中村さんが考えているのですか?
中村 初期は考えていましたが、DJの春日春奈役の進藤あまねさんに相談したほうがいいなと思って相談するようにしました。「これでよろしいでしょうか?春奈お嬢様」っていう感じで(笑)。ライブの構成とかも考えてもらって全然いいし、それに周りが対応できるようにしていきたいなと思っています。カバー曲の振り付けとかも、自分たちでやっているみたいだし、レコーディングを見ていても、めちゃめちゃ仲が良くて、本当に同級生みたいなんですよね。
ーーきっとその空気がライブに出ているんでしょうね。
中村 だんだんそれがステージで出せるようになってきているから、Lyrical Lilyはこれからだと思います。
ーーでは最後に、Lyrical Lilyのファンの方にメッセージをお願いします。
中村 次は何をするんだろうと、楽しみにしていただければと思います。「月に萌える」は、萩原朔太郎の「月に吠える」から取っているんですけど、このあとにもかなり強烈な曲が待っています。次は多分、日本文学最強の作品をモチーフにしたかもしれません。ぜひ、お楽しみに! カバー曲も、これまでと違った感じのカバー曲が増えていくと思うので、そちらも楽しみにしていてください。